東京証券取引所の鶴島琢夫社長は七日会見し、一日午前九時から午後一時半まで全面停止した取引システムの障害について、直接のトラブル原因は富士通の作ったプログラム修正作業指示書の一部に記載漏れがあったためだったと発表した。
障害の原因は当初、証券会社と取引するためのソフトの技術的な欠陥とみられていた。だが、実際は指示書の記載漏れという人為的な単純ミスで、改めて東証と指示書を作成した富士通の管理責任が厳しく問われることになる。東証は十日に臨時取締役会を開き、この問題に関する経営陣の内部処分を決定する。
会見によると、東証と富士通は十月九日に実施した取引能力の増強に向けたシステムの事前検証で、取引指示関連のソフトに売買注文が約六百万件を超えると証券会社へのデータ通知が滞ってしまう未発生の不具合(バグ)を発見。これを修正した新プログラムを十三日に再入力した。
新プログラムが正常に稼働することを確認する仮入力段階では問題がなかったものの、その後、正式に入力する作業段階で、新プログラムへの移行手順の一部内容が作業指示書に記載されていなかった。このため、東証が三十一日に行ったデータ整理でシステム環境が更新された以降は、コンピューターが新プログラムを正しいソフトとして認識できずシステムが停止した。
今回の結果で、富士通の責任がより明確になった形だが、東証は「さらに事実関係を検証し、契約内容に沿って対応する」(鶴島社長)と、損害賠償請求についてはこれまでどおり慎重な姿勢を保持した。
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東京証券取引所がシステム障害の原因を発表したのを受け、金融庁の五味広文長官は七日の定例会見で、「(東証、名証の相次ぐ障害は)極めて遺憾なこと。両取引所には原因はもちろんのこと、責任の所在、今後の対応を含む報告書の提出を命じており、金融庁としても報告書を詳細に分析したい」と語った。
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◆賠償は未定
富士通広報IR室の話「東証が発表したように、富士通から送付した資料に、必要な項目の記載漏れがあった。それが売買システムが停止する契機となったのは事実だが、それをチェックする東証側の管理体制などの検証がまだ終わっていない。賠償することになるかどうかは未定だ」
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