前回あらすじ&アイキャッチ&本編ハイライト
作中から文字起こししてみました。ネタバレ気味につき注意。
註:前回あらすじは比瑪が喋ってます。
公開:平成16年01月17日
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 比瑪
- あなたはどうしたいの? 生まれたのなら、あなた何かしたいんでしょ?
- 比瑪
- 立てば? 立ってから考えましょ!?
- 勇
- 深海七千メートルだ。大丈夫だよ、お前は潰れていない。強い子だからね。
- 勇
- さあ、行こうか!
前回あらすじ
突然プレートという物が現れて、その中からブレンパワードが生まれた。優しい目をしたその子に誘われて乗った時、グランチャーって言うのが襲ってきた。どうしてブレンを目の敵にするの? あなたは誰?
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- 比瑪
- ちょっと、何すんのよ! せっかく助けてやったのに、あたしから逃げてどうするつもりなのさ!
- 勇
- やっぱりおまえだったんだ!
- 比瑪
- ……今、何をやったの!?
- 勇
- 何って、俺達二人でグランチャーを撃退したんだろ?
- 勇
- お前、宇都宮比瑪だろ。お前のブレンパワードの扱い方、イエスだね!
- 比瑪
- ああっ、そうかあ! あははっ、そうなんだ! あたし達でやったのよね!
- 勇
- ちょ、ちょっと、撃破はしてないんだぞ。
- 比瑪
- そ、そりゃ分かってるわ。
前回あらすじ
伊佐未勇と言う子と出会った時、彼は一人じゃなかった。同じブレンパワードと言ったって、あたしのとも違っていた。オルファンから逃げ出してきた男の子なんて、合う訳無いって、それが実感。
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- 勇
- グランチャーってのは、ブレンパワードに比べて抗体反応ってヤツが強いんだ。オーガニックエンジンが有れば――
- 桑原
- そんなの有る訳がないだろう! 電力だって君が言う程には回せない!
- 勇
- オルファンはもう浮上を始めている! 海上に出たら人類の手に負えなくなる。
- 桑原
- だから国連は、人類は、ノヴィス・ノアを建造したんだろう!
- 勇
- ふん、ノヴィス・ノアはサバイバルのための船だ。地球の海を漂うだけ……。
- 勇
- けどね、おじさん。オルファンって、銀河旅行をする凄い船なんだよ。
前回あらすじ
伊佐未勇は、あたしの家の近くでブレンを使って見せてくれた。けど、オルファンで付き合いのあった人が追いかけてきたから、色々あったみたい。ひだまりの館を泥津波から守ってくれたのには、感謝するけど。
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- ナンガ
- 今時こんな雑草取りをするとはね……。
- ラッセ
- DNAファームなら虫も付かないし、雑草も生えないものな。
- ナンガ
- ああ……俺は何であいつが、オルファンから逃げ出したか分かったような気がするな。
- ラッセ
- 何でだよ?
- ナンガ
- 2〜3ヶ月前まではちゃんと畑をやってた所だ。ヤツは直子さんのこんな仕事を見て育った……。
- 比瑪
- そう言えば、向こうのトマト畑の雑草は取ってあったわね。
- ラッセ
- と言う事は、家の中に居るのか? ブレンは見えなかったぞ?
- ナンガ
- ここはヤツのホームグラウンドだぜ?
- 比瑪
- こんな所で、こんな家と畑が好きだったのよ、勇って子は。
- ナンガ
- ああ、そう言うヤツが海中に居て、グランチャーの強制に従うなんて、無理な話だ。
前回あらすじ
(無し)
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- 勇
- リクレイマーの連中は、遺伝子や記憶が全てだと言うけど、そうだったら何故俺達は世代を重ねるんだ?
- カナン
- その間違いを、オルファンが正すのでしょう?
- 勇
- 違うよ。オルファンには何か……そう、とりあえずの呪縛のようなものが有るんだよ。
- カナン
- とりあえずの、呪縛……?
- 勇
- カナンだって、オルファンを離れてみれば、分かると思うな。
前回あらすじ
伊佐未勇がノヴィス・ノアに居着くなんて思えないなあ。グランチャー一機でやって来た女は、勇とずーっと一緒だったって言うのよ。そんなのが撃墜されたように見せかけて、勇を連れ戻しに来たって事だって、あるじゃない。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 勇
- 何やってんだ! 離せ!
- カナン
- あなたたち? 何意地悪してるの?
- アカリ
- 勇はここに居るんだー!
- クマゾー
- だんこそし!
- カナン
- ああ……。
- 勇
- 何だよ、引っ張ってくれたって、いいじゃないか!
- カナン
- 手伝えないなあ。こういう所で、ブレンパワードは活性化したのか。落ち着くわ。
前回あらすじ
プレート集めをする、グランチャーを追いかけたあたし達のチームワークは、良くはなかったなあ。けど向こうも同じで、プレートを落として行ってくれた。それがリバイバルしてくれて、何と双子のブレンが現れたのよ! 凄いでしょう? けど、グランチャーに似てるんだよね。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 勇
- カナン、気を合わせれば良いんだ、どうしたんだ!?
- カナン
- やっているつもりだけど、グランチャーと違う!?
- 勇
- 理屈で考えてるんだろう、包んでやれ、愛してやるんだ!
- カナン
- 愛してやる?
- 勇
- それしかないだろ?
- カナン
- そうだけど……落ちないで、君! お兄さんなんでしょ? 生まれたばかりで逃げるなんて、損なのよ!?
- カナン
- 意気地無し!
前回あらすじ
ヒギンズさんもカナンさんも力があったのよ。だからブレンを呼び出せた。でも、ジョナサン部隊が回収したプレートからリバイバルしたグランチャーは、怖かった〜。あの動きがパイロットを殺めたらしいんだけど、双子のブレンは生まれたばかりでも、良くやってくれたわ。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 比瑪
- お婆ちゃんのせいで、お母さんが優しくしてくれなかった、なんて事ないよ。
- 勇
- お前なんかに分かるもんか。
- 比瑪
- 分かるよ! あたしには沢山お母さんが居たもの。
- 勇
- えっ……沢山のお母さんが居たから分かる?
- 比瑪
- お父さんだって一杯ね。子供を育てようっていうお父さんやお母さん達、人それぞれ、表現が違うのよ。
- 勇
- 表現が間違ってたら、お終いだぜ。
- 比瑪
- でも勇のお父さんとお母さんは、勇を必要とした。親に必要とされたっていうのは、いい事だよ。
- 勇
- とんでもない! 研究のためにだ! これは親子の問題じゃない、世界の問題だ!
- 比瑪
- ……そうか、愛されてるとかいう問題じゃないんだ。
- 勇
- 当たり前でしょ。そういう認識が有れば、婆ちゃんだって少しはやりようが有る筈なのに、ゲイブリッジなんかと、老いらくの恋なんだぜ。
- 比瑪
- どうしろってのさ。
- 勇
- オルファンに乗り込んで、お袋をひっぱたくとかさ。
- 比瑪
- そんな事出来る訳無いじゃないの。
- 勇
- ……そりゃそうだ、歳だもんな。
前回あらすじ
寄港地の偉い人は、ノヴィス・ノアやブレンパワードを見ても、何が起こるか想像する事は出来なかった。でも、あたし達はリクレイマーのスパイを追い出したりしながら、ブレンパワード達が仲良くなって行くと感じた。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- ジョナサン
- まだこんな物持ってたのか! あんたみたいな女が、こんな物持つ資格はない!
- アノーア
- 母親が、子供のカードを持っていて――
- ジョナサン
- あんたはこれを持つ資格はない!
- アノーア
- お前が十の時にプレゼントしてくれたのに……。
- ジョナサン
- 良く覚えてるから怒ってんだ。あの時だってママンは家に居てくれなかった! あんたにはカードを持ってみせるような見せかけの愛しかない! こんな事やられたって、子供には分からない! 伝わらないんだ! 男との愛情を育てるのを面倒がった女は、子供との愛情を育てるのも面倒だったんだよな!? だから俺を捨てて、仕事に逃げたんだ!
- アノーア
- あなたを愛してるわ……。
- ジョナサン
- 今、何やった!?
- アナウンス
- (――これより、全ての操作は、アノーア艦長の音声確認が必要となります。)
- ジョナサン
- ……やるね、ママン。
前回あらすじ
ジョナサン・グレーンさんって、お母さんに会いに来たんだって、絶対に思うなあ。クマゾーは何も説明してくれないから、あの人に感化されてなければいいって思うんだけど……分からないなあ。心配しても仕方がない事だから、良かった良かった、って言ってるけど。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- アイリーン
- ノヴィス・ノアのパイロットが、一つに統合されていく、気のようなものが有ります。
- アノーア
- ……艦長が不甲斐ないのに?
- アイリーン
- 船は一人が動かしていくものではありません。子供達も自分の役割はちゃんと――
- アノーア
- 親にも役割が有るんだろうがね……。
- アイリーン
- やり直せますわ、どんな事でも。
- アノーア
- 言うのは容易いが――
前回あらすじ
そりゃあ、アノーア艦長が息子さんの事で悩んでいたからって、その事と行方不明になった事は、関係が無い。あたしが出会ったのとは質が違うプレートは、回収した方が良いって、艦長は判断したのよ。それが冷静さを失わせて、プレートに飲み込まれた。……とっても残念。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 比瑪
- この敵変よ、勇!
- 勇
- 何だ、この感触?
- 勇
- クインシィ・イッサーか!?
- クインシィ
- 見つけた、勇!
- 勇
- 姉さんだろ!
- クインシィ
- 勇、あたしに撃たれなさい!
- 勇
- 姉さん、姉さん、外を見ろよ! 外を!
- クインシィ
- 黙りなさい!
- カナン
- ブレン全員へ! 勇とあのグランチャーを戦わせては駄目よ!
- ラッセ
- カナン、どういう事だ?
- カナン
- あれはクインシィ、勇の姉さんの依衣子さん!
前回あらすじ
あたしはちらっとしか見ていないけど、難しそうなお父さん。それに姉さんのクインシィさんまで攻めて来たんだから、世の中どうなるんでしょうね。カント君が姉弟の出会いを見ているんだけど、そういう事になるとあの子、何も教えてくれないんだなあ。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 勇
- 親父、グランチャーで来たのか?
- 勇
- やっぱりだ。よりによって同じ様なトコに隠して!
- 比瑪
- やる事が一緒なんて、やっぱり親子ね。
- 勇
- 嫌味か?
- 比瑪
- 事実でしょ?
前回あらすじ
勇がお父さんを追いかけた時、クマゾーが着いて行ってしまった。クマゾーは、シラー・グラスと言うグランチャー乗りと仲良くなった気配がある。男はあの歳からそういう事をやっているの? 愚考するに、クマゾーが居たから、勇はオルファンに潜入出来た、って考え方もあるんだよね。
アイキャッチ
カナン、勇、コモド、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- アイリーン
- 不整脈はないけど、疲れているわね。フリュイドスーツを着てみせるなんて、気がいいのね?
- アイリーン
- 気が急いていても、体は正直よ。虚していて反応は遅いわ。
- 勇
- 虚してる……虚脱の「虚」ですか。
- アイリーン
- そうよ。
- アイリーン
- 肉体そのものもね、良い体験や悪い体験の記憶はしている。吐き出すものは吐き出させてあげないとね?
- 勇
- 分かるけど……僕に出来るのかな?
- アイリーン
- 出来るわよ。
前回あらすじ
(無し)
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- 勇
- だからカナンは強いんだよ。俺は逃げてばかりだ……。
- カナン
- あたしをここに呼んでくれたのは勇よ。勇は復讐なんて意味が無いって分かったんでしょう?
- 勇
- それは分かったさ。外からオルファンを眺めて、はっきりそう思えたんだ。
- 勇
- あれは優しい姿をしていた。ふくよかで、凶暴なものには全く見えなかった。
- カナン
- それ、まるで母なるものの事ね。
- カナン
- 人間の女達が母になる事をしなくなった。それで子供達は奈落に落ちる……だからオルファンが敵になる。
- 勇
- そう、それもあるかもな。女が母になる事を止めて、男もそれを許したんだ。
- カナン
- 戦争が無くなって、自由過ぎて、男も女も、自分達の欲望だけに目を向けてしまったのよ。
- 勇
- 生存競争を自分に向けたら、エゴだけが育ったんだ。
- カナン
- このブレンチャイルドに触っていると、そう云う考え方の間違いに気付くみたいで……あたし、あの人を愛しても良いのかしら?
前回あらすじ
オルファンは、海の上に頭を出しているようだし、グランチャーの数だって増えているようだけど、思った程の戦争になっていないんだよね。でも勇に言わせれば、オルファンは人類を絶滅させるものだって言うから、オルファン封じ込め作戦は、実行するのである!
アイキャッチ
カナン、勇、コモド、比瑪、依衣子、クマゾー
本編ハイライト
- ラッセ
- ふふっ、スパイをしていたか……。
- ラッセ
- お前達なら、頼まなくっても生きて行けるよな?
前回あらすじ
ラッセブレンは、自分の意志でカミカゼをやったんですって? だったら、グランチャーだってオルファンだって、ああ言う事をやるかも知れないんだ? そうか、それで地球が全滅しちゃうんだ! でも逆に考えれば、ラッセさんが生き残れたのは、ブレンからオーガニックエナジーを貰えたからでしょう? と言う事は、オルファンが人間はとっても良い様に作用する事も、考えられるなあ。
アイキャッチ
カナン、勇、コモド、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- カント
- グランチャーは何処なんです?
- 勇
- 隣の倉庫だ。
- カント
- ブレンと隔離したんですね?
- 勇
- 伝染病なんて持ってない。場所が無いんだ。
- カント
- でも、ブレンがパイロットの人数より多くなって、良かったですね!
- 勇
- ナッキイは四人とも使いこなしてるってさ。
- カント
- どんな人なんです?
- 勇
- 俺が知りたいよ――あいつだ。いけすかない奴だろ?
- カント
- えっ――カント・ケストナーです! よろしく! ナッキイ・ガイズさん。
- 勇
- ……なっ?
- カント
- 聞こえなかったんですよ――この船に怒ってんのかも知れない!
- 勇
- 何でだよ!?
- カント
- だって、だらしないじゃないですか。
- 勇
- 天才少年が!
前回あらすじ
オルファンを前にして、勇がお姉さんとぶつかってしまった。ナッキイ・ガイズはグランチャーだから、戦力になるようでならなかった。その間に、勇はお姉さんに抱かれて消えちゃったの。あれじゃあ今頃別の銀河の惑星に行っちゃって、オルファンが勇を追いかけて行くって事だってあるんじゃない?
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 勇
- 比瑪は言葉は無くとも、何となく分かるって言ってた。あいつが話すと比瑪ブレンは喜ぶんだよ。俺はひねくれてるから……。
- ネリー
- そう云う風に話せる様になったのなら、もう聞こえるわ。今までは、聞こうとしなかったんでしょう?
- 勇
- 聞こうとしてなかった?
- ネリー
- そうでしょう? あなたの気性は激しかった。でもあのブレンと付き合うようになって、柔らかくなったんでしょう?
- 勇
- ……そうか、そうだね。
- ネリー
- その比瑪って人、あなたの大切な人なのね?
- 勇
- 違うよ、俺にはそんな人は居ない。
- ネリー
- そう思い込もうとしてるだけでしょう?
- ネリー
- 人間は、誰だって大切な人を持っているものよ。だから生きて行ける。一人で生きて行くのは辛いし怖いわ。ブレンパワードのような、オーガニックマシンと呼ばれる存在だって、そうなのよ。だからあの子達、私達のような人を、水先案内人として選ぶのよ。
- 勇
- パイロットって元々そう云う意味か……。
- 勇
- 分かったよ。俺みたいな癇の強いのと付き合ったお陰で、あいつはあんな目に遭っちまったんだ――それに引き替え姉さんは――あの時だって見切ってた。グランチャーを痛めないようにした。姉さんはグランチャーの気持ちを分かっている。
前回あらすじ
(無し)
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- ネリー
- いやだ、ブレンが笑ってる。
- 勇
- ホントだ。
- ネリー
- ……ブレンの気持ち、分かるのね?
- 勇
- 分かるようになったんだ。初めは馬みたいに表情分からなかった。
- ネリー
- そうね。付き合ってみて、アンチボディが機械じゃないと感じ始めると、この子達、戦うために生まれてきたんじゃない、生きて行きたいと思っているって、それは分かるわ。
- 勇
- ネリーは不思議な事を言う……。
- ネリー
- 私は普通よ? 何の力もない女だわ。ただブレンと出会えた事だけが、他の人と違った。
- 勇
- それ、後悔してるんだ?
- ネリー
- 逆よ、後悔なんか。私はこの子がしたがっているように、精一杯遊んであげられないんで、可哀想だと思っている。
- 勇
- ネリーブレンが可哀想?
- ネリー
- うふふ、くすぐったいでしょ? ブレン。ほら、くすぐったくない? ブレン。くすぐったいよね?
- ネリー
- あたしはこの子が持っているものを全部引き出してあげる事は出来ない。でもあなたなら出来るかも知れない。
- 勇
- ネリーだって。
- ネリー
- 例えば、勇のブレンの怪我だって、治せるかも知れないのよ? ほら、出来るかも知れないって言ってるわ。
前回あらすじ
あのネリー・ブレンが、スケートをやったという話も、あたしは後で聞いたんだ。ネリーさんと勇の事は想像出来ない。あたしは、見た物しか分からないし、見えない物なんかに興味無い。人を理解するって、それで良いんだって思う。
アイキャッチ
カナン、勇、コモド、比瑪、依衣子、クマゾー
本編ハイライト
- 勇
- あっ! いつ取ったんだ!?
- 比瑪
- あの村の人に捕まる前!
- 勇
- あ、そうか……そうだよね。
- 比瑪
- それ、女物よね?
- 勇
- ……ネリー・キムさんの形見なんだ。
- 比瑪
- 形見? 亡くなったの、その方?
- 勇
- ネリー・ブレンが、俺のブレンとリバイバルする時にね。情け容赦ないんだ。
- 比瑪
- 怖かったんだ?
- 勇
- ああ。オルファンが浮上する時に、ネットが歪んだりすれば、ああなるかもな。可能性は有る。
- 比瑪
- そんなに怖い事があったんだ……でも再リバイバルした時、ネリーと勇のブレン、一緒になったって、そう言ったよね勇!
- 勇
- そう言った――そうか! 地球の問題やオルファンの事って、全てが絶望的な事じゃないかも知れないんだな!
- 比瑪
- そうよ! ブレンは空を飛んでんだもの!
- 勇
- 上手く行くって事だ!
- 比瑪
- そうだよ絶対!
- 勇
- そうだよな! 誰が絶望するもんか!
- 比瑪
- そうそう!
前回あらすじ
あたしの一杯のお母さんの思い出は、あたしのプライドであり、幸せの元になっている。だからって、積極的に人には話さない。勇にとってのネリー・キムさんの事は、つらい思い出だろうけど、大切にしなければならない事ではある。
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- カント
- ね……これ植物の芽ですよ。
- 比瑪
- うん。
- カント
- これ大発見ですよ!
- 比瑪
- なんで?
- カント
- ここ、オルファンが通った後でしょ? なのにこんなに植物の芽が出ているんです。
- 比瑪
- そうだね……。
- カント
- オルファンが、植物と共生する性質を持っているんです。
- 比瑪
- カント君の話では、バイタル・グロウブの合わさる所で植物が殖えてる、って言ってたよね?
- カント
- ええ。
- 比瑪
- オルファンが悪者じゃないなら、私たちのお願い、聞いてくれるかな!?
- カント
- は?
- 比瑪
- 話してみようかな、オルファンに。
- カント
- 本気ですか?
- 比瑪
- ブレンだってグランだって言う事聞くんだぞ?
- カント
- そりゃあ……。
前回あらすじ
カント君は、ブレンにコンソールパネル無しで乗っちゃうんだから、あたし以上だなあ。だからブレンが、カント君の才能に刺激されて、興奮したと思うんだけど、雲から出てきた幽霊ブレンの事を考えると、あれもオルファンの仕業だと思える。オルファンは謎だ。
アイキャッチ
カナン、勇、コモド、比瑪、依衣子、クマゾー
本編ハイライト
- 勇
- ……あれは?
- 比瑪
- きれい……これが雲で、空で、太陽で、オルファン……。
- 勇
- 改めてオルファンと云うやつが、海底に居た時とはまるで、違ったものに見える。
- 比瑪
- そうよね、宇宙に飛び立とうとする羽衣、銀河の羽衣を着た、女神だわ!
- 勇
- 銀河の羽衣? あれを見てそんな事言うなんて……おかしいとは言わないけど。そうは見える。優しいんだなお前。
- 比瑪
- そうかな? 見える事言っただけだよ?
- 勇
- リバイバルしたそのブレンと出会った時、お前は物怖じしなかったよな。俺は、グランチャーに乗る時は、縮み上がったのに。
- 比瑪
- それはきっと、グランチャーだったからよ。
- 勇
- いいやそうじゃない。そうじゃないよきっと。
- 勇
- (オルファンより比瑪の方こそ女神なのかも知れない。そう云う感じ方をする心を持ってるんだから。)
前回あらすじ
ゲイブリッジさんだって、初めから分かってたって言う作戦じゃないと思う。それにしても、ノヴィス・ノアを狙ったミサイルが、オルファンに向かった。爆発させたらノヴィス・ノアがアメリカの敵になっちゃうから、って言うんで、みんなで止めちゃったんだよね。どうしてこうなる……さあね。
アイキャッチ
カナン、勇、コモド、比瑪、依衣子、クマゾー
本編ハイライト
- クインシィ
- ケイディ、貴様こんな所で何をやっている!?
- ケイディ
- ク、クインシィ・イッサー!
- クインシィ
- ノヴィス・ノアに寝返ったか?
- ケイディ
- そ、そうではありません。 自分は……あっ、自分は、ビー・プレートの存在を確認するために、独断で長期潜入を決意したのであります。
- クインシィ
- で、ビー・プレートの存在確認は、どうなった?
- ケイディ
- 自分の見解では、どうもここの子供達がビー・プレートだと思われます。
- クインシィ
- なんだあ?
- ケイディ
- 自分は、そう確信しております。
- クインシィ
- ……おめでたい奴だな。
- ケイディ
- は、しかし……可能性として考慮する必要がありますから、今ノヴィス・ノアを――
- クインシィ
- 沈めるつもりでここに居るのではない。
- ケイディ
- は? ではどうして――
- アカリ
- 依衣子ねえちゃん、アイリーンさんが呼んでる。
- クインシィ
- 何?
- アカリ
- 早い方がいいって。
- クインシィ
- 分かった。
- クインシィ
- この子達と、私の分のドーナツは取っておけよ。
- ケイディ
- はっ!
- ケイディ
- ……あれは本当にクインシィ・イッサーなのか?
前回あらすじ
何か大事な事って、あたしが居ない所で起こるんだよね。勇とお姉さんの依衣子さんとの事は、首を突っ込んじゃいけない事なんだろうけど、クインシィグランチャーの爪が伸びた事件は、そりゃあ見たかったわ。ホラーは嫌いだけどね。
アイキャッチ
カナン、勇、比瑪、依衣子
本編ハイライト
- 比瑪
- ここは……一体……?
- 比瑪
- プレートが生まれてる所なの? ここ……ここって、まさか? オルファンの、子宮なのかしら……。
- 比瑪
- ここは……。
- 比瑪
- あっ、あれは!?
- 比瑪
- お母さん……!
前回あらすじ
あたしは情けない! 気がついたらオルファンの中に居て、直子お婆ちゃんとゲイブリッジ司令に会ってしまった。見た物しか信じないにしても、何でと考えてしまうのは、分からない事は怖い事だから。でも、オルファンは、心優しい存在だと分かるよ。今だけかも知れないけど。
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- イサム
- そうだ、今度帰ってきたら、大々的にトマトを植えるよ。
- 直子
- トマト……?
- イサム
- お前は野菜一辺倒だからさ、大きいトマトはつぶしが利くしさ。
- 男
- (伊佐未先生、みんな集まりました!)
- イサム
- おう! 直子、翠を頼む。
- 直子
- はい。
前回あらすじ
勇の姉さん、依衣子さんが逃げ出した時、あたしのブレンに乗っちゃったんだよね。あの子よくも付き合ったもんだ。だから、勇の故郷に出ちゃったんだけど、あれ幻かも知れない。でも依衣子さんは、間違い無く、赤いバロンズウに乗って消えたんだから、現実でしょうね。驚嘆驚嘆。
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- 研作
- おかしいな。計算では、オルファンはもう飛び立てる筈なんだが。何故かな。
- 翠
- 計算なんて、オルファンには役に立たない事はもう証明済みでしょう。
- 研作
- いや、何かが、何かが足りないのだ。宇宙へ飛び立つための決定的な――決定的にオーガニック的なものって、何だろう?
- 翠
- オルファンの求めているものは、新しい生命、力でしょう? 手段を講じるために必要なものは、オーガニックエナジーの総量です。全地球の生命力です。
- 研作
- そう云う数量的なものじゃない、量じゃないんだよ翠!
- 翠
- ならパッションとでも言うんですか? 情愛的なものを、オルファンが欲しがっていると? 全く……。
- 研作
- そうだな、それではお笑い種だ……。
前回あらすじ
さあ決戦だ! 決戦だって出て行ったんだから、オルファンからアーミーグランチャーなんかが一杯出て来るんだと思ったけど、オルファンさんはちゃんと分かっていて、そう言う事は無かった。けど、依衣子さんがオルファンに取り込まれてしまったんで、その後全部が金縛りになっちゃうんだろうね、っと、心配なんだよね。
アイキャッチ
(無し)
本編ハイライト
- カント
- ビー・プレートの件ですけどね、オルファンが欲しがる何かの事だと思います! オーガニック的な何か!
- ヒギンズ
- オーガニック的な何か? オルファンが欲しがっている物……。
- ナンガ
- それをやりゃあ……。
- ラッセ
- オルファンを潰せるのか?
- 比瑪
- 潰すんじゃないわ。
- ヒギンズ
- 生かす……。
- 勇
- しかしこの地球で、俺達人間が、オルファンに拮抗させられるものと言えば……。
- 比瑪
- ならさ、見せ付けてやりゃいいのよ!
- 勇
- ……そうだな!
奥付